初めてニュウヨークに行ってから随分になる。
何もかも初めてだったからオドオドビクビク
だったろう。
ラ・ガーディア空港と言ったか、空港に迎え
に来た商社の車でマンハッタンのセンター
ステイション裏のキタノホテルに夜遅く着い
て、何か食べようなった。
同行は機械屋のTKさん。
もう空いている店はバーしかなくデイビッド・
カッパーフィールドという大きな丸囲み看板
ドアーのバーに入った。
中は満員で、座るテーブルもなかったが、
何とか小さい丸テーブルを用意してくれた。
家族ずれも多いように見受けられた。
ピアノバーらしく、老紳士が弾くピアノで
男女の歌手が代わる代わるセミ・クラシック
の歌を歌う。
そのうち休憩タイムになりピアノのオジサン
がポロンポロンと何か弾いている。
僕も茶目っ気を出して、ピアノ脇に行き
「何か歌っていい?」ってオジサンに英語で
聴いた。
「シュア、何歌う?」「アイリッシュ・ララバイ」
フランク・シナトラの歌だ。
「ラア・ラ・ラ・ラ・ララ~ラ~・ラ・ル・
ラバイ~」歌詞は短いが、正確じゃない。
何とか歌ったら、大受け。
周りのテーブルから東洋の男が招かれる。
スカッチン・ワラー(水割り)はどんどん
注がれる。
どこから?何をしに?どこへ?次々問われて
いるうちに親睦になった。
翌日の日曜日、二人でタイムスエアの方に
行ってみた。
町は大賑わいで緑色のバッジに緑の服の人
たちが大勢いるし、そのうち楽隊も次ぎ
次にやって来る。
もみくちゃになって群衆の流れに乗って
いたら、暗くて大きいカテドラルの中に
入ってしまった。
セント・パトリック教会だった。
昨日デイビッド・カッパーフィールド・
バーに集まっていた人たちは、全米から
のアイリッシュ家族だったのだ。
怖いほどの偶然ではあったが、今では
横浜でもパレードが出るほどファミリアーな
お祭りなった。