2020年7月15日水曜日

㉔第1回欧州物理学会の写真に出会う

思い出 出会いの旅

不自由な身体になっても旅はやはり憧れである。


旅の出会い思い出は、たとえそれが小さくても 

いつまでもきらりと光る。

倒れる前の年大学を出て貿易会社に勤めた若い甥の

達っちゃんが プラハ駐在になった。

彼の母や叔母3人、つまり3姉妹が、これを機会に

彼のコンドミニアムを利用してのプラハ見学を企画した。

自分は留守番をするつもりであった。
ところが頼んだ旅行社の手配が済みそうになった頃、

母親の都合がつかなくなり、大慌てで代人を探した末

留守番予定の自分が狩り出されることになった。

そうこうしているうちに 出発の日が近づいた。 

そして、何と母親の都合もつきそうになったのだ。 

結局、3姉妹と老いぼれ爺の奇妙な旅のパーティ

になってしまった。

中でも、うっかり爺の行動は特筆すべきもので 

旅なれていて知ったかぶりが目立ち、いざという

ときは役に立つだろうが、いつもビールを片手に

歩くようなのん兵衛であった。

アムステルダムのスキポール空港に降り立って 

先ずさきに、ブリュッセルやブルージュを見に

行きたいとの希望で、ヨーロッパの超特急タリス

に乗ってブリュッセルに行った。

夕暮れ時で、生憎タリスは定期点検とかで運休の

表示があり、それでも動く列車もあるらしい。

ホームの表示も何処にあるか解らず、どの列車が

それかも解らず、探すのに苦労の末、ホームの端

にいた列車の最後尾に乗り込むことが出来た。

発車寸前!19時を過ぎた頃、ブリュッセル中央駅

に着いた。

そこで、爺の大失態!混雑が激しい降車のデッキ上で

スリにやられた。

うっかり、成田からズボンの後ポケットに入れた財布

のことを忘れていたのである。

警察に届けても意味がないと諦めて、予約のホテルに

移動した。

4人とも、滑車つきの大きな旅行ケースを引きずって 

ごった返す街の中を行く。

車に乗るほどではないらしいし街を見るのも勉強だから。

やっと見つけたホテルは5つ星といわれるメトロポール

先ずフロントにスリに会ったことを伝え、カードの停止

を東京に連絡したいと頼み、カード番号も控えもして

いなかったのを後悔しながら、東京に連絡が取れた。

フロントも極めて親切で下手な英語を助けてくれたし

ベルギー国内の連絡もしてくれた。

東京への通信費などの請求を聞いたが無料にしてくれた。

さすが、客のもてなしが違うと感心した。

フロントの前の大理石の柱に額に入ったモノクロ写真が

飾ってあった。

何気なく覗き込むと、何と「scientists at Solvay 

Congress」とある。

Solvay Congressは一番左に座っている物理学者

ネルンストが提唱した、アインシュタインをヨーロッパ

に招いた会で「第一回欧州物理学会」とも言える会だ

そうだ。


ホテル・メトロポール・ロビーに飾ってあった写真