2020年7月12日日曜日

⑰ホームステイ

会社の25年勤続記念にヨーロッパ家族旅行補助

というのがあった。

ワイフと20歳になった娘を連れて行った。

ローマ市内巡行からスイスのジュネーブ市内巡行、

次いでシャーモニーでモンブラン山展望台まで

ケーブルカーで登り、ジュネーブで旅のオプション

にホームステイが出来た。

その後、ジュネーブから高速鉄道KGVでパリに

移動しパリを巡るという旅だった。

普通のパック旅行では経験できない、受け入れて

くれる家庭を事前に予約できる珍しい企画で、

貴重な経験だった。

夕方シャーモニ―からバスでホテルに戻ると、

ホームステイの家庭の亭主が車で迎えに来てくれた。

ジュネーブのような都会でも、ジュネーブの

中央駅から10分もドライブすると喧騒を離れた

丘の田園風景になり、農家風の家が点々とする。

間もなく家のお爺さんが経営する伝統の牧畜農家

納屋に立ち寄り、エンシレージ(草などを発酵

させて作る家畜飼料)を作る納屋の床の構造を見て、

一家が住む住宅に入った。

裏庭には子供たちが世話をするウサギ小屋、鶏小屋、

がある。

日本の田舎でもよく見られる風景だ。

一家の若夫婦と男の子、女の子たち2人、お祖父

さんと我々3人も加わって大家族になった。

お祖母さんは先ごろ亡くなったという。

面白い、と言ったら語弊があるがスイスは

オーストリア、フランス、イタリアと山で

隣接するので、家庭内でも多言語が珍しくない。

若主人はフランス語とドイツ語系で英語は少し、

奥さんは英語とドイツ語系、お祖父さんはイタ

リア語とフランス語系という具合で、英語少しと

日本語の我々は奥さんの英語に頼るしかない。

お爺さんが自家製のワインのボトルを提供して

くれて食卓は賑わった。

食後、車でこの家のワインヤードに案内された。

背丈ほどもないワイン棚の畑が根っこに水点滴の

管が張り巡っている。

安定した農村風景にほっと息をつく。

ご主人は町のオフィスに通っているそうだ。

短期間ではあったが、スイスの家庭を覗くこと

が出来たのも貴重だ。

帰国して子どもたちの浴衣お揃いと何かをプレ

ゼントし、文通していたが間遠になってしまった。