2021年9月30日木曜日

(96)リハビリ日記⑲ セプテンバー・ソング 

  思えばつかの間の夢現だったのかも


知れない。


今年3月、老後を考えて家の整理と改


造を思い立って、構想設計に取り掛か


った矢先、言葉が怪しくなった。


家の前庭に車いす用のスロープを付け


る構想図を前にワイフとディスカッシ


ョンしていた自分の言葉が急に通じな


くなったのだ。


手足に異常は無いように見えたが、自


分には予感があった。


まさか!と訝るワイフに直ぐ救急車の


手配を頼んだ。


救急車が来て、救急隊員に支えてもら


いながら自力で歩いて救急車に乗った。


一応の応急処置が終わって入院ベッド


に落ち着いたころには、完全な入院患


者になっていた。


しかし、足が萎えているとは気づかな


かって、直ぐに歩けると思っていた。


 16年前の1回目の脳梗塞入院と違


って、今度はリハビリは専門病院に転


院して行うシステムになっていて、1


ケ月前にリハビリの磯子中央病院に転


院し、PT.OT.ST.の各リハビリ部門の訓


練を約3ケ月受けた。


 その間、骨盤損傷に掛かると思われ


る腰痛で訓練もママならず、病院での


訓練を諦め、自宅で過ごしながら訪問


リハビリを行う方法が経済的だと思う


ようになって有馬先生をはじめ病院の


スタッフの方々に無理な我が儘を聞い


て頂いて退院して約3ケ月経った。


 再発から都合7ケ月、夢のような日


々が過ぎた。


腰痛は残ってはいるものの軽くなり、


覚束ないものの2本足で立って居られ


るようになり、ウイルで3,4km範囲な


ら外出も可能になり、トロミ食にも慣


れてきたこの頃、夢現ながらも過ごせ


た恩恵を感謝するばかりである。


 気が付けば、9月尽、セプテンバー


ソングが聞こえる時期が行こうとして


いる。





2021年9月19日日曜日

(95)リハビリ日記⑱ 獺祭忌 正岡子規忌 

 今日9月19日は、現代俳句の創始者と


言ってよい正岡子規の命日である。


人々は自分の書斎である病床を、獺(い


たち)が獲物を自分の周りに並べるとい


う習性になぞらえて本などを病床の周り


に並べた自分を獺祭亭と自称したと言わ


れることから、忌日を獺祭忌とあだ名さ


れたのである。


 子規の一番弟子に相当する高浜虚子は


子規の看病に当たっていたが、仮眠を取


っていた間に臨終に間に合わなかったそ


うである。


 子規が亡くなった蚊帳を離れ友人たち


に訃報を伝えるために外に出た虚子が見


たのは十六夜を過ぎた月の光だった。


 子規逝くや十七日の月明に 虚子


と言う名句を詠んだ。(石寒太による)


 後々山口県JR岩徳線沿線に獺祭の名を


冠した銘酒が生まれたが、子規の獺祭と


縁があるのかどうかは知らない。


獲物を前にして酒を酌むには好都合であ


ろう。