ニューヨークのマンハッタン訪問の記念に
大型のA社のラゲッジ・ケースとウイルソン
のテニス・ラケットを買おうと思っていた。
買い物が出来る日に、同僚のTKさんとホテル
を出た。
僕は何時も通勤に使っている同じA社の小型の
アタッシュ・ケースを下げていた。
マンハッタンの5番街はガラス・ショウウインド
が並ぶ垢ぬけた商店街だ。
目当てのラゲッジ・ケースが並んだ、大きい旅行
カバン店に出会った。
早速品定め。若い格好よい青年が数人いる店で、
僕たちが二人で入るとワーッと寄って来た。
みんな口々に交互に説明してくれる。
若いからジョークを飛ばす。
粘って10ドル値切ってラゲッジを買うことに
決めたが、次の買い物にずっと持ち歩けないの
を悟り、払いを済ませてアタッシュケースをラ
ゲッジに入れ、3連数字回転の鍵をうっかり掛けた。
果たして3つの数字をよく確認していなかった。
店員たちがわっと寄って来て2,3人が解きにかかり、
他は珍事に喜び飛び回る。
「賭けをしよう」「解けたらコーヒー一杯ずつよ」
鍵解きの残りは店中を飛び回る。
そのうち「解けた!」と声がして、「コーヒー」、
「コーヒー」と連呼する。
苦笑いで10ドル札を差し出すと、喜んで札を
カッサラッて逃げてしまった。
アーア、値切った分取られちゃった。