2020年7月14日火曜日

㉓ おーいおらあ三太だあー(その2)

三太の家は粉挽き水車小屋だったということに

なっている。

今は青山や三ヶ木の近く道志川と相模川との合流

あたりに、三太旅館が建っているらしい。

その頃、にわかに中学のとき聞いたラジオ・ドラマを思い

出し、冒頭の「三太物語」の本を買ったものとみえる。

光文社創業60周年記念出版されたという「三太物語」

には青木 茂 という人が書いた一連の物語り

「三太花荻先生の野球」、「三太ウナギ騒動」、

「三太ローレライ」、「三太大雷」、「三太カッパ退治」

など全12話が収録されている。

相模湖に近い山あいの小村・道志村を舞台に、腕白で

たくましくて飾り気の無い少年三太が巻き起こす愉快な

騒動の数々・・・とキャッチフレーズがついているが、

読み返すほどに、あのころの貧しくも温かい誠実な

人間模様が懐かしい。

ラジオ・ドラマで放送されたのは、これらのエピソードを

取り込んだものだったのだ。

映画の原作にもなったという(僕は見ていないが)し、

日本が生んだユーモア児童文学の最高傑作とも

言われているらしい。

神奈川県の方言をはじめ、身近な実在の土地で

 青木 茂 が語る物語りは、確かに村に行けば三太が

今でも悪戯っぽく生きているように感じる。

青木 茂( 18971982)という人は、才能豊かな人で

あったが、若くして結核に倒れ、通学できず、ほとんど

独習で多方面の活躍をしたという。

三太物語りはその三太旅館の前身の宿で書いたといい、

三太は、花子らの友達のガキ大将であったとか、

三太の祖父「仙じい」は魚つりの名人で、近所の

「音さん」は酒好きのお人好しであったとか、村の

アイドルは新しく赴任してきたきれいで、やさしい

音楽の花荻先生であり、ヘビが大嫌いでよく気絶した

とか、ほとんど空想で人物像を作ったらしい。

驚くべき才能だ。

人物は生き生きと描き分けられていて、今も声が聞こえ

そうな気がするほどである。

光文社から今も発売されているかは調べていないが、

Amazonや楽天などインターネットで手に入れることが出来る。

まだ読んでいない人、読み返してみたい人は、是非、

お読みください。

きっと昔の神奈川県津久井を思い起こして、古きよき

時代を思い起こせるでしょう。