2021年2月23日火曜日

(74)草枕スケッチ帖⑮




     ⑮


 [Please excuse our appearances 


            during construction]


有名なスミソニアン宇宙航空博物館入口付近の


スロープ工事の現場に掲げてあった横広の立て看


板である。


つまらないことに何を感心しているのかと語学力


を笑われそうだが、僕にとっては「これだから英


語が好きなんだ!」ということになる。


この場合、日本語の看板だと「工事中お見苦しい


点ご迷惑をおかけしております。ご容赦のほどお


願い申し上げます」か「工事中でお見苦しいと思


いますがご容赦ください」程度だろう。


日本語では、お見苦しく感じるのはあなたであっ


て、もしいやなら許してよ、という日本語的責任


回避表現に思える。


だから日本語日常会話に使わない語をもちいる。


「工事中で外観を損なっています。どうぞしばら


くの間お許しください」と責任逃れないスミソニ


アン風ににきれいに書くような国にしたいものだ。


でも、イタリアでも、USAでも、常設展示は皆無


料で見ることができるし、写真撮影だって許され


る。  


司馬遼太郎さんではないが国のかたちということ


を考えさせられる。