2021年2月6日土曜日

(67)草枕スケッチ帖⑧

       


 

       ⑧


斜塔を離れると、そこは中世からの大学の街で


ある。


旧市街の中心になる所に大学本部の建物があり、


狭い石畳の道の両側に続く古い石の建物の小さな


扉の奥は殆どが大学のカレッジである。


思い思いの学生が出たり入ったりしている。


自転車やバイクや徒歩。質素だ。


斜塔がこちら側に傾いているため手前の建物


の上からのぞき込んでくるように思える。


そこでは騒々しい観光客の姿は蒸発している。


 グランドホテル・デュオーモはこの斜塔の


見える街角にあり大学の中心の入口に当たる


所である。落ち着いた良いホテルである。


 路地のような大学街を抜けると大きい川の


ほとりに出て、向こう岸は新市街である。


交通量も多く活気があり中世の斜塔だけの


田舎町ではなく、イタリアでも大きい方の


街だということわかる。


 翌日バスでラ・スペジアというピサの北


約一時間の街にあるオットー・ブリーダー社


という大きい国営企業傘下の工場を訪問したが


その後、特急列車でローマに向かう時、特急列


車がピサに停車した位に大きい街である。