2007年8月2日木曜日

台風とコーナーリフレクター

 タコ糸コーナー・リフレクター騒ぎを起こしてから、われわれ新入社員を含めたチームは本物のレーダーを使って試験をすることになった。
 ちょうど定期オーバーホールの時期になっていたMPQ-10というMSA援助(確か米軍の援助協定があった)でもらった2次大戦時代の高射砲システムのCバンド(5000Mhz帯)トラッキング・レーダーがあった。工場に入る前、自衛隊の訓練に参加してこれを使うことになった。日時計画は変更が出来ない状況だったが生憎計画の試験日には台風が来ることになっていた。
 部隊から程近い久里浜の背後の丘の上の広い畑の中で借り上げた空き地にレーダーを置き、準備をしてからタコ糸に風船つきリフレクターを上げた。風が強くリフレクターはほとんど真横に流れた。
ついにはタコ糸を諦めて切り離し、1回きりの試験になるがこれを追尾することにした。だがリハーサル無しで操作も満足に出来ない追尾レーダーで嵐の中で目標を捕らえるのは至難の業、この後もこのムツカシさを何度も味わうことになるのだが、思い出せば血気盛んの向学心が懐かしい。
このときの試験結果は覚えていないが、久里浜のあの辺りには今は畑などどこにも残っていないように見える。多分昭和40年の前38,9年じゃないかと思う。

 今だから白状するが、装置の防水ケーブルの接栓のゴツイ蓋をレーダー回転ペデスタルにはさんで潰してしまったり、直径2mはあろうかというアンテナを建物のシャッターにぶつけて凹ましたり、冷や汗ものの思い出があるのだが懐かしいレーダーである。