2007年8月8日水曜日

コーナー・リフレクター作り

 同じレーダー課に配属された新入社員(6人だったと思う。特別に多かった。受注予定プロジェクトが多かったのであろう。だが、予定は見事外れたが。)のうち2,3人は(自分とF君以外は覚えていないが)はコーナー・リフレクター作りをやることになった。といっても、それを見たことも聴いたこともない者ばかりだった。第一、上長も知らないのから仕様がない。

 先ずMIT(マサッセッチュー工科大学)のテキストを読んで形を類推した。が、難しい形は駄目、見よう見まねで作りが簡単な四角錐の底面を対角線で4等分して電波反射体で4つのコーナーに分け、底面を上にして吊るすという形にした。大きさは約30cm、C-band(5000MHZ帯)での反射率というか実効反射面積はいくらになるかはよくわからなかった。レーダー側への投影面積(c-band換算した時)と思われるが何か基準値と比較しなければわからないといえる。
 で、この実験も結果はよくわからないでいる。ずっと後になって、初期のジェット練習機T-33の実効反射面積がレーダー性能要求側(言わば官側)の標準値として1平米(1㎡)以上と換算されたり、評価される側(会社ないし民間側)としては1㎡以下、それも0.5㎡以下と思われる意見としばしば食い違ったのとよく似て立場で大きく見えたり小さく見えたりするのだ。標準コーナー・リフレクターがあれば簡単だがいろいろな見込み角度に応じた測定値はデータとして見ることがあるものの標準値というようなものにはなっていないようだ。球状の標準金属反射目標があるのかもしれないが・・・・・。
 余談だが、近年も最新鋭のF-22ジェット戦闘機の技術機密情報を同盟国それもイギリスにでさえ開示しなくするという米議会の動きに軋轢が増えているというが、どうも機密情報はステルス構造にあるらしい。が、初期の空力的に構造的に無理がない、驚くほどスリムなT-33の機体は反射率から言っても驚くほど小さいかった印象がぬぐえない。国産のF-1やファントムF-4などと比べると大きさも違うが大きさ比より小さいような気がする。
 長ーい目で見ると、レーダーで見えない塗料を変えてみたり、実効反射電波が位相的に相殺されるような形を選んでみたり、いろいろ研究されてきたステルス技術だろうがレーダー波長に無関係に、となると軽くて表面構造が電波的に多層構造であるのかもしれない