2021年1月30日土曜日

(65)草枕スケッチ帖⑥



 ⑥


ロンドン近郊で国の防衛研究所を訪問し、航空機


エンジンのロールスロイス社を見学してから


イタリアのピサに飛んだ。


唯一有名なのはピサの斜塔である。


 十二世紀に着工された斜塔と十一世紀建造の


イタリア最古のカテドラル、ドゥオーモと説教


ドームの三つの建築からなっていて、斜塔を


除けば今でも実際に毎日10時の礼拝に使われて


いるという。


 ドゥオーモも斜塔も建設中から傾いてきて、


修正を加えながら百八十年かけて築き上げて来た


という。 斜塔はその後も傾きがひどくなり、遂に


近年さまざまな対策を試みつつある。


 今は立ち入り禁止となっているが、まあのんびり


やるさ、という調子なのであろう。


「これまで数百年もこれでやって来たのさ、どうっ


てことないさ」そんな良さを教えてくれる。


 ドゥオーモには高い天井の上から長いロープで


吊るされたランプがあり、個々の大学生であった


ガレリオ・ガリレイが、講義を聴いていて、この


ランプがゆっくり揺れ続けるのを見て振り子の


法則を思い付いたという説があるそうだが、ランプ


はガリレイがいた頃はなかったともいう。