2013年3月31日日曜日

あわや大事件に

短SAMの技術試験は技本(技術研究本部)の労務借り上げとして、毎年9月ごろ発射試験に参加した。
 ミサイル班、FCS(射撃統制レーダー装置)班、LCH(ランチャー発射機)班などに各社が編成して、各社が各々旅館や民宿など宿舎を調達したものだ。
 短SAMロケット単独の発射試験期を過ぎ、標的機を使うシステム試験期になった初期(初めての)には、新島のふじや旅館を使った。
何しろ大人数で、島全体に100名を越すくらいの人数が集まったから、食料をほとんど外部から輸入しているような島としても、大問題であったであろう。
 もっとも、その頃は汽船に乗って新島にキャンプに行くのが流行りはじめた頃だから民宿も増え始めてはいた。
 試験の余暇(朝夕など)には船着場の突堤で魚釣りが流行った。年によって違ったが、その時はアジやサバが釣れた。くんが、大きいフグを釣ってきた。いわゆる料理免許の要るトラフグではないようだった。彼は器用で好奇心も強く、旅館の調理場の包丁を借りて、「大丈夫大丈夫、肝は取るから」と慎重に捌いて刺身にした。宿の大皿に盛って、部屋の酒盛りのツマミに「うまいうまい」と食べてしまった。
 しばらくして、「唇が痺れるような気がする」と言い出す人が出てきた。だんだん多くなって、ついには部長の耳に入るところとなった。
 部長は仰天して、全員を集め、「以後釣りはまかりならん!」と説教した。
説教で済んで良かった!フグ毒で死ぬところだった!